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COVIDー19感染後のPCR検査

2021年6月5日

みなさま、こんにちは。
理事長の今野です。

今回はCOVID-19に感染した方がどのくらいの期間、周囲への感染性を有するか、という問題についてです。

この点をなぜ取り上げようと思ったかと言いますと、時折、COVID-19の診断で入院治療や自宅隔離を受けられ、退院や隔離解除となった方たちの中で、お勤め先などから「PCR検査を自費で受け直し、陰性であれば出勤するように」という指示をされてご相談にお見えになる方がいらっしゃるためです。

一度COVID-19に感染した患者さんでは、感染からしばらく(中央値3週間程度)はPCR検査で陽性が持続すると言われています。一方、下記の論文や国立感染症研究所のページにまとめられていることを参考にしますと、COVID-19に感染した患者さんのうち、

1)軽症から中等症の患者さんでは発症から10日程度で周囲への感染性はなくなる

2)重症であった患者さんや重度の免疫不全の患者さんなどでは15日程度(最長でも20日程度)で周囲への感染性はなくなる

ということのようです。

重症の定義は「ICU入室や人工呼吸器管理がなされたこと」ですから、そういったことのなかった、中等症以下の患者さんであれば、発症から10日経ち症状が改善した時点で、PCR検査を再度行わなくても周囲への感染性はないものとして社会生活に復帰して良いのではないかと言えそうです(この辺り、本来なら国家規模の指針として示すべきだと今野個人は考えています)。

ただし、重症の定義を満たした人や抗がん剤や免疫抑制剤により免疫が低下した状態にあると考えられる人については、発症から15~20日間は周囲との接触をさけ、隔離を続けるというのが合理的と言えそうです。もっとも、ICU入室や人工呼吸器管理をされた方が発症から15日程度で退院できる、とも思えないのですが(重症なのでもっと入院治療が長引きそう)。

この辺り、「PCR検査で陰性になったら職場復帰・通学再開して良い」というやり方とは異なる方針を考えるのが、社会保障費の観点からも、患者さんたちの社会的心理的Stigmaの観点からも、良いのではないかと思います。

 

 


参考)

・Chanu Rhee, Sanjat Kanjilal, Meghan Baker, and Michael Klompas, Duration of Severe Acute Respiratory Syndrome Coronavirus 2 (SARS-CoV-2) Infectivity: When Is It Safe to Discontinue Isolation?

https://academic.oup.com/cid/article/72/8/1467/5896916?login=true

・国立感染症研究所

https://www.niid.go.jp/niid/ja/diseases/ka/corona-virus/2019-ncov/2484-idsc/10174-covid19-18.html